有料老人ホームの法律相談 老人福祉法改正
平成24年4月1日老人福祉法が改正され、有料老人ホームを取り巻く環境は大きく変化しました。この改正は、有料老人ホームの経営者、有料老人ホームの入居者に大きな影響を与えるものですが、その重大性はあまり認識されていません。改正老人福祉法が施行され1年3カ月、環境はどのように変化したのでしょうか。
この点に関し、今週発売の週刊ダイヤモンドに私のコメント載せてもらいました。
特集『狙われる老後のカネ』の中で老人ホームの入居一時金を取り上げています。
http://dw.diamond.ne.jp/category/special/2013-07-13
従来は、有料老人ホームに入る際、入居者は、ホームに対し、入居一時金という名の1000万円ほどの金銭を支払っていました。これは、権利金という名目で授受されていたケースが多く、また、数年数ヶ月で退去せざるを得なくなった場合、償却として、ほとんど返還されない点が問題となっていました。
そこで、改正老人福祉法では、このような「権利金」名目の入居一時金の授受を廃止し、家賃の前払いとしての入居一時金を授受する場合でも、その償却率には極めて厳格なルールが適用されることとなりました。
有料老人ホームを経営する会社の中には、経営基盤がまだまだ完全とはいえず、入居一時金によってなんとか経営を維持してきた会社もあります。今回の改正でホーム側にとってもっとも重要な改正点は、平成26年3月31日までに、現在入居中の利用者との間の契約にも、厳格な償却率のルールが適用される点です。そのため、有料老人ホームを経営する会社は、今のうちから、しっかりとした準備を怠らず、健全なホーム運営を目指すことが急務です。
一方で、現在ご家族を老人ホームに入居させている皆さん、ホームの入居一時金の仕組みが、きちんと改正老人福祉法上の厳格な償却ルールに沿ったものになっているのかを、十分確認してみてください。
また、今後、ご家族を老人ホームへ入居させようと検討されている皆さんは、入居一時金が厳格な償却ルールに沿っているのか、入居一時金という一括前払い方式の他に、毎月ないし毎年分割で家賃を支払っていく方法を選べるようになっているかを確認してください。
高齢社会で、有料老人ホームのニーズは急激に高まっています。その分、老人ホームも急増し、入居予定者にとって選択の幅は大きくなりました。人生の最後をゆったり楽しく笑顔で暮らせる。そんな場所を選んでください。